【PTA体験談⑥】長がつく役職はしんどい



私には娘が2人います。かつて娘達が通っていた幼稚園は2年制保育で、4~5才児クラスを年少、5才~6才児クラスを年長と呼び、園児が総勢200人以上いる大人数の公立幼稚園でした。


長女と次女は3学年差。長女が小2の時に、次女が年少として幼稚園に通い始めました。長女が園に通っていた時は「下の子がいる」という理由で免除されてきたPTAの役員でしたが、次女が通う時は、私は役員の対象になりました。だから、4月の役員決めの日はドキドキしました。



でもね、長女が幼稚園に通っていた頃は、世間知らずで無知だった私も、次女が幼稚園に通う頃の私は、ママ友ができて少し賢くなっていました。だからPTAの情報を、私は少し知っていました。(情報というか、うわさ話ですけどね)


ママ友が口々に言っていたのが「年少のうちに役員をやっていた方がいいよ。だって、年長になると長がまわってくるから」という話でした。


PTAで長がつくものっていうと、会長とか委員長とか、学級長とか部長です。長がつく役職って、集団を取りまとめる立場になるんです。役員会議なんてものにも出席しなければいけないし、発言の機会も増えるし、なにより責任がのしかかります。


ボランティアでやる仕事に、責任なんてほしくないですよね。だから長になんてなりたいわけがないんです。よっぽどのモノ好きでない限り。だから私も、ママ友からアドバイスをもらっていた通りに、年少で役員、もしくは何かの係に立候補しようと思いました。



クラスでの役員決めは、学級長などの役員の募集とは別に、バザー委員も募集していました。そこは狙い目でした。役員よりも楽そうだし、このバザー委員に立候補してしまえば、来年度の役員は免除になるだろうと考えたんです。


それにバザーが開催されるのは1学期中。つまり、2・3学期は仕事がないのです。1学期さえ我慢すれば、仕事が終わるわけだから、こんなに楽なことはない!だから私はバザー委員に立候補しました。バザー委員の枠は1クラス3人。私以外のママ達も、同じ考えのようでした。


ところが・・・その年のバザーはとてももめました。グッタリです。悲しいくらいにもめました。でも収益はすごい出ました。なのにこの収益が、後々わたし達を苦しめました。


バザー委員会っていうのは、バザーが終わればそれで終わり・・・ではなかったのです。バザーの後、そのバザーの収益金を使って、園児に還元するためのイベントを開催しなければいけないらしいのです。


「え?収益金って、園にあげたらいいんじゃないの?」って私は思いました。でも、そうではないらしく、バザー委員が、今度はイベント開催スタッフとなって、何かを催さなければいけないらしいのです。


「そんな話聞いてねーよ!」



しかし、やるしかありませんでした。まあ、仕切るのは委員長の役目なので、私は年少ママさんという気楽な立ち位置で、バザー委員の話し合いに参加してました。


ところが、その年の委員長は、あまり委員長には向いてない性格だったため、話し合いとなると、仕切りがグダグダでした。


そして委員長が集まりに欠席なんてこともよくありました。委員長だからと言って、毎回必ず出席しろなんていうルールはありません。しかし委員長が欠席してしまうと、「誰が仕切るんだ?誰の責任だ?」みたいな感じになり、不穏な空気が流れ、たまらない時間を過ごしました。


でもPTAってボランティアだから、委員長を責めることはできません。むしろ好意で委員長を引き受けてくれてるんだから、やってくれてありがとうと、感謝の気持ちを持たなければと思ってました。でも頭でわかってても、感情はイライラしました。


さらに、バザーで収益を出し過ぎたために、イベントだけではお金を使いきれず、お金の使い方をどうする?みたいな、よくわからない話をすることにもなりました。バザーでがんばって儲けて、そのお金のせいで、余計な仕事が増えて時間をうばわれ、そして自分に見返りもなく、人間関係は悪化するっていう・・・なんですかねこの活動?



そんな感じで、次女の年少時代が終わろうとしてました。終わろうとする直前に、来年度のバザーに関するアンケートが配られました。「来年バザーを開催した方がいいかどうか」というアンケートです。私は、どっちって書いたか忘れましたが、後日集計結果が出ました。結果はほぼ半々。


「え?バザー開催するの?しないの?どっち?」


一部のママ達が混乱する中、さらに園長先生が異動になってしまいました。だからこの問題は保留のまま。


そして年少の最後に、来年度の役員決めが行われました。役員決めの時には、昨年同様バザー委員も決めることになりました。結局、バザーを開催するかしないかは、来年度の園長先生に決めてもらおうという感じになり、でもバザー委員は先に決めるということで、謎のバザー委員会が発足されることになりました。


私は、自分のつたない頭で、なんかいろいろ思いました。もんもんと。それで・・・わたしはしょうもないことを考えてしまったんです。


「よし。もう1回バザー委員会に入って、自分が委員長になってみよう」


アホです。超アホです。なぜ2回もバザー委員をやるのだ?そもそも年長で役員を逃れるために年少でバザー委員会に立候補したはずなのに。しかもよくわからない状況になっている謎の委員会の長に・・・わたしはどうかしてました。



長をやるには、理想の流れがあります。良くないのは自分から立候補すること。だってそれじゃあ、ただのやりたがり屋になってしまい、ことあるごとに責任を取らなければいけなくなるからです。


だから、1番いいのは、「○○さんやってくれませんか?」と誰かに推薦され、「いえいえ私なんかができませんよ」と断ります。「いえいえそこをなんとか。○○さんにしかできません」と再度お願いされ、そこでしぶしぶ「では、ちゃんとできるかわかりませんが、私でよければさせていただきます。でも、期待はしないでくださいね」みたいな流れがベストです。それが1番カッコいいし、責任逃れができる。


しかしわたしは、バザー委員会の委員長に立候補しました。カッコ良くない方法でなったのです。


委員長になって、1番最初の仕事は、バザー委員さん達のお話を取りまとめることでした。最初の話題はもちろん、「今年度バザーは開催されるのか?されないのか?」ということです。それは、その場にいる18人のバザー委員さん達では決められません。だから私は、新しく着任されたばかりの園長先生のところに行きました。


園長先生は、とても忙しそうでした。そりゃそうですよね。仕事始めでやることいっぱいありますもんね。私はタイミングを見計らい、園長先生に声をかけました。


「バザーですか。前任の園長先生から引き継ぎで聞いてはいましたけど・・・私はそもそも、園児のためのお祭りのようなバザーの経験はありますが、そうではなく、保護者がお買い物をするためのバザーの経験がありません。それはやる意味があるのですか?」


なるほど、意味ないかも・・・そう思いましたが、決断は園長先生におまかせしました。園長先生も、着任早々荷が重いですよね。なぜ自分がそんな決断をせねばならんのだ?ってきっと思ったことでしょう。


というわけで、バザーは開催されることに決定しました。その宣言は、最初のPTA総会で、園長先生が発表し、つづいて私があいさつをするという流れになりました。



私にいきなり試練がやってきました。この私が、たくさんのママ達の前で、バザー委員長としてあいさつしなければいけないのです。


私は声がうまく出せないんです。でも、誰も私の声の病気のことなんか知らないし、言ったところで理解できる人なんていません。変な声の出し方して笑われるんだろうなあって思いながら、覚悟を決めてあいさつしました。案の定、笑われました。


そこから何度も人前で喋るという場面がありました。しゃべるの、めちゃめちゃきつかったです。


私は、今年度のバザーは規模を小さくして、参加したい人が参加するっていう、気楽な活動にしたいなと心の中では思っていました。でも、私はぜったいに自分の意見を言わないぞとも決めていたんです。なぜなら、自分の意見を言えば、自分でやらなきゃいけなくなる、つまり丸投げされるっていうのが想像ついたからです。だから他のバザー委員さんの意見を取りまとめることに徹しました。


すると、バザー委員さんだけでなく、本部役員さんやら先生やら、はたまた部外者のママ達からいーっぱい意見を言われました。アドバイスやら苦言やら正論やら、皆いっぱしのコメンテーターのようにコメントを言ってきます。マスコミのように、私から情報を聞き出そうとするママまでいました。


意見を取りまとめて活動していったら、結果的に昨年度よりも規模のデカいバザーになってました。しかもバザーに関わるのは園の全ての保護者。200人以上です。自分の発言も気をつけないと、とんでもないことになりました。


私が発言すると、「バザー委員長がこんなことを言ってる!」みたいに、ブワッと広がるんです。まわりまわって、伝言ゲームのように私のもとに戻って来た時は、尾ヒレ羽ヒレがついて、なんかすごい情報になってたりしました。わたしってどんな人間?ってびっくりしました。ママのうわさ話ってすごいんです。


いろんな場面で矢おもてに立ち、なぜかいろんな人に謝りました。



しかも、コメンテーターは何もやってくれません。なぜならコメントするのが好きなだけなので。(うちのパパもよくコメンテーターになってます。子供についてコメントはするけど、実際の子育てはしないっていう・・・)コメンテーター達にはイラつきました。


でも私には目標がありました。昨年度、バザー委員会を終えた時にすごく悲しかったから、今年はハッピーな気持ちで終わりたい。これが目標だったので、活動中に嫌なことがあっても耐えました。


結果その年、バザー委員会に身を捧げることになり、すごく痩せました。いいダイエットになりました。そして次の年、バザーはなくなったそうです。


しかもわたしはその時、幼稚園のバザーだけをやっていたわけではありません。小学校でもバザー委員会だったし、子供のバレエ教室があったり、ミニバスケットボールクラブがあったり、それに加えて子育て家事。やることいっぱいありました。完全にワーキングメモリオーバーです。心と体がパンクしちゃいました。


というわけで教訓。
長はやっぱり大変だった(^^)

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